実家がなくなってから、会社員時代は毎年海外で年越ししてきたけど、もうそんな日は来ないんだろうか…。ふと人から聞いた福島の英国風ホテル「ブリティッシュ・ヒルズ」で、大晦日にカウントダウンイベントをやると聞いて、軽い気持ちで泊りに行ってみることにしました。
移動は東北新幹線ですが、久々なのでここは、飛行機のファーストクラスに相当する「グランクラス」に挑戦してみましょう。グランクラスに乗る人は、東京駅にあるJR東日本のラウンジが使えます。ビューゴールドカード保持+グリーン車でも使えますが、私のビューカードはゴールドじゃないので、最初で最後の利用かもしれません。ラウンジは入口からして高級感たっぷり。中に入るとお客さんが3組くらい。きれいな係員の方が席まで注文を取りに来てくれて、カプチーノやアイスコーヒーなども陶器やガラスで何杯でもサーブしてくれます。フィナンシェも出してくれるし、年末サービス?でペットボトルのお茶もいただきました。椅子やブラインド(縦型の布ブライド)も素敵。
乗車すると、一列は2席・1席の3席だけ。乗客は私の他に一人だけです。ただ残念なのは、郡山行きはすぐ着いちゃうからか、飲み物や軽食のサービスは何もありません。リクライニングしたりして車内誌「トランヴェール」を眺めてたら、新白河に到着。
東京から1時間半くらいかな。駅に着いたら雪が降っていました。ホテルのバスでピックアップしてもらって向かいます。この年末は大雪になりそうなので、自家用車の人も駅に車を置いてバスで行くことを推奨しています。
バスに40分乗っているうちに、どんどん雪が深くなっていって、着いたらもうホテルは雪に埋もれています。これは…ずいぶん本格的な英国マナーハウス(貴族の邸宅を改造した昔ふうのホテル)だなぁ!
ロンドンにもこんなクラシックなホテルはないんじゃないか?一度スコットランドとの国境あたりのマナーハウスに泊まったことがありますが、そこよりもむしろ昔ながらの調度品が揃っていてすごく立派です。
そして着いたらいきなり英語だ!最初は慣れなかったけど、だんだん英語が普通になってきました。そこは「神田外語学院」という語学学校が経営している英語合宿のできるホテルで、建物だけでなくそこでの生活すべて、まるでイギリスに滞在しているような暮らしができるというホテルだったのでした。
従業員も英国紳士がいたり、日本人スタッフも英語がとても流暢で、本当にツアーで到着したイギリスのどこかのホテルみたいです。宿泊客は自由に見学できる本館の二階には歴史の古い図書館みたいなライブラリーや、第一回議会でも行われたんじゃないかという会議室など。ホテルというより、本当の貴族の館(チャーチルの生家のブレナム・パレスとか)に来たみたい。
私が参加した年越しプランでは、スコットランドの本格的なバグパイプ演奏と伝統料理「ハギス」とホットワインを振舞う「バーンズ・ナイト」っていうイベントのあとにディナー。
12時に向けてビンゴやトリビアクイズもあって、カウントダウンの後は…雪の中の花火でした。もう寒くて寒くて!でもすごく綺麗で、最高でした。
部屋に戻るとまるで英国風のお部屋に、テレビのスイッチを入れるとデフォルトがBBC!
猫脚のバスタブ。うーむ、イギリス旅行しててもここまで英国風の宿ってないよなぁ…。カフェカーテンのかかった窓の向こう、木々にどさどさと積もる深い雪。ここってどこだっけ?もしかして…密室殺人の舞台?(違う)と言いたくなるくらい、東京から2時間なのにこの非日常感は…。
翌朝は朝食ビュッフェにおせちやお雑煮もあって、朝からデザートも豪華。
ショップではキュー・ガーデンやビクトリア&アルバートミュージアムなど、あー私イギリス行ったらヒースローで買いそうだなー、と思うものばかり売っていて、けっこう買い込んでしまったのでした…。
うーむ。おそるべしブリティッシュ・ヒルズ。全然偽物っぽくなくて、懐かしい気がするくらい立派な、木の家具の匂いただよう、英国好きのツボをみごとに押さえたホテルでした。ぜひここでアガサ・クリスティの「マウストラップ(雪の山荘の密室ミステリー)」を上演してほしい。